2004年10月13日 報道発表

ブルーレイシステムに応用することで、
レンズのコストダウンや3ディスク対応ピックアップを実現可能

世界初※1、「NA※2(開口数)0.95単レンズ」を開発

〜片面40GB以上の高密度信号も読み取りできる、
従来より25%小さな光スポットを作成〜




<「NA0.95単レンズ」とBD用「NA0.85単レンズ」の比較>

「NA0.95単レンズ」とBD用「NA0.85単レンズ」の比較
  BD用レンズ 新レンズ
NA(開口数) 0.85 0.95
焦点距離 2 ㎜ 0.75 ㎜
厚さ 3 ㎜ 1.2 ㎜
直径 φ 4.1 ㎜ φ 2.1 ㎜
体積比 1 0.1

左:BD用「NA0.85単レンズ」 中央:「NA0.95単レンズ」 右:一般的なボールペン



 日本ビクター(株)は、その技術をブルーレイディスク(BD)システムに応用することにより、BD用レンズの生産性向上&コストダウン、BD/DVD/CDの3ディスクに対応したピックアップ、BD機器の小型化&モバイル商品への展開などを実現可能な、世界で初めて※1NA※2(開口数)0.95を有する単玉対物レンズ「NA0.95単レンズ」を開発しました。本レンズは、当社のBD 試作機に使用している「NA0.85単レンズ」より面積比で25%小さい光スポットを作成でき、理論的には、直径120㎜の単層ディスクに記録した片面40GB以上の高密度信号も読み取り可能です。
 なお当社は、10月11日から韓国・済州島で開催中の、光メモリ国際シンポジウム「ISOM2004(International Symposium on Optical Memory 2004)」にて、本レンズの開発成果を発表する予定です。
※1… 2004年10月13日現在。
※2… NA(開口数)=レンズの集光能力(分解能)を表す指標。数値が大きいほど集光能力が高く、小さな光スポットを作成できます。従って、大きなNA のレンズは、光ディスクの記録密度を上げることができます。



<「NA0.95単レンズ」の特長>
(1)世界初、実現できる限界に近いNA0.95の超小型単レンズを実現
形状精度0.1μm以下の超精密成型技術と、性能と量産性を両立させたピンポイント設計技術を組み合わせることで、極めて高い精度を要求されるNA0.95の超高開口数ながら、直径2.1㎜厚さ1.2㎜というボールペンの先ほどの超小型サイズのレンズを実現。 遠視野結像
既開発のBD用「NA0.85単レンズ」より面積比で25%小さい光スポットを作製可能。空気中での理論的なNAの限界は1であり、NA0.95は実現できる限界に近いレンズです。

(2)ディスクの交換性を保証できる遠視野結像
DVDやBDと同じく、レンズと集光点の間に空間(レンズとディスクの間隔に相当)が存在する遠視野結像での集光作用を用いているため、従来の光ディスクの特長である、ディスクの交換性を保証できます。

(3)製造公差を大きくできる設計を行い、レンズの生産性確保に考慮


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<「NA0.95単レンズ」技術のBDシステムへの応用>
 今回開発した技術は、単玉レンズの設計、製造技術の完成度の高さを示すもので、この技術をBDシステムに応用することにより、次のようなことが可能となります。
(1) BD第一世代商品用の単玉対物レンズの歩留まり向上とコストダウンを実現
BD用の単玉対物レンズを製造するためには、従来のDVD用レンズに比べて格段に高い精度が要求されます。BD用レンズよりさらに高い精度が必要な、今回のNA0.95単レンズ開発で養ったノウハウを転用することで、BD用単玉対物レンズの歩留まりが向上しコストダウンを実現できます。
(2) 一つのレンズでBD/DVD/CDの3つのディスクに対応できる、互換機能を持つピックアップを実現
ディスクの記録層がBDより深い位置にあるDVDやCDにも対応するピックアップを実現するためには、レンズとディスクの間の間隔(作動距離)を大きく取れる、上面部分最外周での面傾斜が大きいレンズが必要です。今回開発したNA0.95単レンズは、NAを上げるため、BD用第一世代商品用の単玉対物レンズと比較して大きな面傾斜角度を実現しており、その技術を用いてNA0.85のレンズを生産することで、作動距離が大きく、DVDとCDにも対応できるBD用レンズを実現できます。
(3) ディスクムービーや、ノートPC などのモバイル機器への展開が可能
今回開発した、小さなレンズを作るための加工技術を転用することで、小型で作動距離の大きなBD用レンズを実現できます。このようなレンズを用いれば、レンズとディスク間に充分な間隔を保てるので、ディスクムービーやノートPCなどのモバイル機器への展開が可能になります。



<「NA0.95単レンズ」技術の超高密度光ディスクへの応用>

 試作した「NA0.95単レンズ」を、青色レーザーを用いたピックアップに組み込んで、25GB相当のROMディスク(Φ120 ㎜)を用いて検証した結果、最小マーク信号が確実に大きくなり、理論的には直径120㎜の単層ディスクに記録した、片面40GB以上の高密度信号も読み取り可能であることを確認しました。
〔25GB-ROM 盤の再生信号〕
〔25GB-ROM 盤の再生信号〕



<開発背景>

 光ディスクの高密度化技術の進化には、より小さな光スポットを作ることが必要で、そのためにはこれまで以上に高いNAのレンズが求められています。NAを高めるために、近接場光(空間が存在しないか、実質的に存在しないと見なせる間隔)を用いたシステムなどが提案されていますが、レンズとディスクの間隔がサブμmと狭く、ハードディスクと同じように密閉構造となるため、ディスクの交換性に問題がありました。また、NAを上げるために複数のレンズを組み合わせているので、レンズの量産性にも課題がありました。
 当社が今回、世界で初めて開発した「NA0.95単レンズ」は、DVDやBDと同様の遠視野結像での集光作用を用いているため、超高密度ディスクシステムに応用した場合でも、従来の光ディスクシステムの特長である、ディスクの交換性を保証できます。また、BDシステムに応用することにより、BD用レンズの生産性向上&コストダウン、BD/DVD/CDの3ディスクに対応したピックアップ、BD機器の小型化&モバイル商品への展開などを実現可能です。
 当社は今後もさらに技術開発に挑み、本技術を活用してのBDシステムの普及や、さらなる高密度ディスク技術の進化に貢献していきます。


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日本ビクター(株) 広報室 03-3289-2813


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